地理情報の標準化 ISO/TC 211・JIS

ISO/TC 211 について

1993年、国際標準化機構(ISO)において、地理情報に関する専門委員会(Technical Committee:TC)を設立することが提案され、各国からの投票の結果、1994 年 4 月に 211 番目の TC として、ISO/TC 211 が設立されました。2025年6月現在、ISO/TC 211 には、投票権を有する正式メンバー(P メンバー)として日本を含む 38 ヶ国、オブザーバー(O メンバー)として 37の国や地域(香港を含む)が参加しています。ISO/TC 211の事務局はスウェーデンが担当しており、2025年1月にスウェーデンのMs. Sandra Brantebäckが議長に就任しました。

ISO/TC 211 は、総会を 1 年にほぼ 2 回の頻度で、メンバー国持ち回りで開催しています。1999(平成11)年 9 月の総会は日本の京都市で、2008(平成20)年 12 月の総会はつくば市で開催されました。また、2019(令和1)年12月には埼玉県さいたま市大宮区にて第49回総会の開催がされました。総会では規格案毎に作業部会が催され、規格内容を検討しています。

ISO/TC 211 による標準化作業は、参加国から推薦された専門家により規格の検討を行い、検討結果を原案(Draft)としてとりまとめ、参加国への意見照会や投票にかけるプロセスで進められます。作業項目ごとに中立的な立場のプロジェクトリーダーが選任され、専門家の意見を調整しながら作業を進めていきます。2025年現在、それぞれの専門分野に焦点を当てた6つの作業グループ(Working Group)で各規格についての検討を進め、12の諮問グループ(Advisory Group)によってサポートされています。日本はAG7 Terminology Maintenance Groupを主導し、専門用語の定義や維持管理を行いTC 211でも重要な役割を担っています。

ISO/TC 211設立当初、作業項目は20のみでしたが規格化の検討作業が進み、現在では約100の規格が発行されました。また、現在約30の作業項目について規格化の検討作業が進められています。19155-2:2017「場所識別子(PI)アーキテクチャ-第 2 部:場所識別子(PI)リンク」、19116:2025「測位サービス」の改訂作業では、日本がプロジェクトリーダーを務めていました。

近年では、地理情報の利活用に観点を置いた応用的な規格が増え、それらを支える基礎的な規格の見直し作業も進められています。技術の進化や地理情報活用の合理化に対応しつつ、ISO/TC 211の目的である「地理情報の理解と利用の促進」に向けた標準化活動を行っています。